ECサイトの成長、事業拡大、顧客ニーズの多様化…。ビジネスが順調に発展していく中で、取り扱う商品点数が1,000点、10,000点、そしてそれ以上へと増えていくのは、企業にとって喜ばしい証です。しかしその裏側で、こんな悲鳴が聞こえてきてはいませんか？
- 「商品情報の更新が追い付かない…」
- 「ECサイトとカタログで情報が違っているとクレームが来た」
- 「新商品の発売日なのに、情報登録が終わらず販売機会を逃した」
- 「この情報の最新版は、誰のどのファイルにあるんだ？」
もし、これらの声に心当たりがあるなら、その原因は「商品情報管理」の方法にあるのかもしれません。特に、多くの企業で利用されているExcelやスプレッドシートによる管理は、商品点数が増えるほど限界を露呈します。本コラムでは、取り扱い商品点数の多い企業が直面する課題を整理し、その解決策として注目されるPIM（商品情報管理）システムを導入する具体的なメリットについて、詳しく解説していきます。
「Excel管理」の限界。なぜ商品点数が増えると破綻するのか？
はじめは便利だったExcelでの商品情報管理も、SKU（最小管理単位）が増え、関わる部署や担当者が増えるにつれて、様々な問題を引き起こします。
| 問題点 | 詳細 |
|---|---|
| 属人化とブラックボックス化 | 「このファイルは〇〇さんしか編集できない」「複雑な関数やマクロは作った本人にしか分からない」といった状況に陥り、担当者の異動や退職で業務が停止するリスクがあります。 |
| ヒューマンエラーの頻発 | 手作業でのコピー＆ペーストは、入力ミスや転記漏れの温床です。たった一つのスペックの間違いが、顧客からの信頼を損なう原因になりかねません。 |
| バージョン管理の崩壊 | 「商品情報最新版_2025xxxx修正版_最終.xlsx」のようなファイルが乱立し、どれが本当に正しい情報なのか分からなくなります。 |
| リアルタイム性の欠如 | ある部署が情報を更新しても、それが他部署や各販売チャネルに即座に反映されません。情報の伝達にタイムラグが生じ、古い情報が掲載され続けるリスクがあります。 |
| マーケティング活用への壁 | 画像や動画、PDFなどのリッチコンテンツと商品情報を紐づけて管理することが難しく、魅力的な商品ページの作成や、効果的なマーケティング施策の妨げとなります。 |
これらの課題は、担当者の努力や工夫だけで解決するには限界があります。組織として、商品情報を「資産」として捉え、戦略的に管理・活用する仕組みへとシフトすることが求められているのです。その中核を担うのがPIM（商品情報管理）システムです。
商品点数が多い企業こそ実感できる！PIM導入5つのメリット
では、具体的にPIMを導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。特に商品点数の多い企業が実感しやすい5つのポイントをご紹介します。
1. 圧倒的な業務効率化とコスト削減
PIM導入による最も分かりやすい効果は、手作業の撲滅による業務効率化です。これまで担当者が多くの時間を費やしてきた、以下のような作業を劇的に削減できます。
- 各チャネルへの商品情報の入力・転記作業
- 仕様変更に伴う、複数ファイルへの修正作業
- 情報の整合性を確認するためのダブルチェック
- 各所からの問い合わせ対応
例えば、ある商品の価格やスペックが変更になった場合、PIM上で一度修正するだけで、その情報が連携された全てのECサイト、基幹システム、データフィードなどに自動で反映されます。これにより、担当者は単純作業から解放され、より創造的で付加価値の高い業務（商品ページの改善、販促企画の立案など）に集中できるようになります。結果として、作業時間の大幅な短縮、残業代や人件費といったコストの削減に直結します。
2. 商品情報の品質向上とブランド価値の維持
「Aのサイトでは1,200円なのに、Bのモールでは1,000円になっている」「商品のサイズ表記がチャネルによって違う」。こうした情報の不整合は、顧客の混乱を招き、購買意欲を削ぐだけでなく、企業のブランドイメージを大きく損ないます。
PIMでは、商品情報を一元管理することで、全てのチャネルで「正確」で「一貫性」のある情報を提供できます。必須項目の設定や入力規則（例：数値のみ、文字数制限など）により、情報の抜け漏れや表記ゆれを防ぎ、データクオリティを飛躍的に向上させます。
さらに、高解像度の画像やプロモーション動画、取扱説明書のPDF、関連商品の情報といったリッチコンテンツも紐づけて管理できるため、顧客にとってより魅力的で分かりやすい商品訴求が可能になります。高品質な情報は顧客満足度を高め、ひいてはブランドへの信頼と価値を向上させるのです。
3. 迅速なマーケティング施策と販売機会の最大化
ビジネスのスピードが加速する現代において、「Time to Market（市場投入までの時間）」の短縮は売上を左右する重要な要素です。
PIMを導入すれば、新商品の情報をシステムに登録するだけで、販売チャネルへの展開準備が迅速に整います。これまで情報登録の遅れで発生していた「発売日に販売開始できない」といった機会損失を防ぎます。
また、期間限定のキャンペーンやセール情報の反映もスピーディーに行えるため、機動的なマーケティング施策の実行が可能です。自社ECサイト、各種ECモール、SNS、アプリ、実店舗のデジタルサイネージなど、複数のチャネルへ同時に、かつ最適な形で情報を配信する「オムニチャネル戦略」を推進する上でも、PIMは不可欠な基盤となります。
4. 取引先に合わせた商品マスタ変換
企業活動において、商品データのやり取りは自社内にとどまりません。商品を卸してくれる「仕入先」や、販売を委託する「販売代理店」、出店している「ECモール」など、多くの取引先が存在します。そして、それぞれの取引先からこんな要求をされることはないでしょうか。
- 「A社にはこのCSV形式で」
- 「Bモールにはこの項目名でデータを提出してほしい」
- 「C社向けには商品コードの先頭に特定の文字を付けてほしい」
商品点数が増え、取引先が多岐にわたるほど、このデータ変換作業は担当者に重くのしかかります。手作業でのコピー＆ペーストや項目の並べ替えは時間がかかるだけでなく、ヒューマンエラーの温床にもなります。
PIMシステムは、こうした取引先ごとのフォーマット変換作業を自動化する強力な機能を備えています。PIMに一元管理されたマスターデータを「正」として、そこから各取引先の要求に合わせて、必要な項目を、必要な形式で出力する設定をあらかじめ作成しておくことができます。
5. 属人化の解消と組織的な情報資産活用
「商品情報のことは、あの人にしか分からない」。このような属人化した状態は、組織にとって大きなリスクです。
PIMは、商品情報を個人のPCや特定の部署の共有フォルダから、全社共通のプラットフォームへと移管します。アクセス権限を適切に設定することで、必要な人が必要な時に、常に最新の正しい情報へアクセスできる環境を構築します。
誰が・いつ・どの情報を更新したのかという変更履歴（バージョン管理）も自動で記録されるため、管理の透明性が高まり、内部統制（ガバナンス）の強化にも繋がります。商品情報はもはや「個人の持ち物」ではなく、分析や再利用が可能な企業の「情報資産」へと昇華され、組織全体のデータ活用レベルを底上げします。
まとめ
取り扱い商品点数の多さは、本来、企業の競争力や顧客への提供価値の高さを示す「強み」であるはずです。しかし、その管理体制が追いついていなければ、それは業務を圧迫し、成長を阻害する「課題」になってしまいます。
Excel管理の限界を感じ、日々の情報更新に追われているなら、それはまさにPIM導入を検討すべきサインです。PIMを導入することで、
- 業務を効率化し、コストを削減する
- 情報品質を高め、ブランド価値を向上させる
- 販売機会を最大化し、売上を拡大する
- 商品マスタの変換作業を自動化し、ミスを削減する
- 属人化を解消し、情報を企業の資産に変える
といった、数多くのメリットを得ることができます。
特に、初期投資を抑え、迅速に導入でき、常に最新の機能を利用できるクラウド型のPIMシステムは、変化の速い現代のビジネス環境に最適な選択肢と言えるでしょう。
(株)エルテックスが提供しているPIM
株式会社エルテックスでは、「HANABI Data」というコストパフォーマンスに優れたクラウド商品情報管理システム（PIM）をご提供しています。
Excel管理に限界を感じている企業のご担当者様はぜひチェックしてみてください。
