メーカー、卸売、小売にとって、商品情報管理は事業運営の要となる重要な業務です。しかし、サプライヤーから提供される規格書やカタログの情報をPIMのような商品情報を管理するシステムに手作業で入力する作業は、多大な時間と労力を要する上、ヒューマンエラーのリスクも高いものです。
この課題に対して、AI技術がイノベーションをもたらそうとしています。アメリカのAnthropic社が2024年10月22日(現地時間)にパブリックベータ版として公開した「Computer Use」です。この新技術は、従来のRPA(Robotic Process Automation)とは一線を画す、新しいアプローチを提供します。
Computer Useが商品マスタ登録業務にもたらすイノベーション
一般的なRPAでは、作業の自動化のために詳細な設定やプログラミングが必要です。たとえば「このボタンをクリックし、次にこのフィールドに入力し…」というような細かい手順を一つ一つ定義する必要があります。
一方、Anthropic社のComputer Useでは、AIに対して自然言語で指示を出すだけで、複雑なパソコン操作をAIが自動的に実行してくれます。「この規格書の情報をPIMシステムの対応するフィールドに入力して」のように、人間同士でやり取りするような形で指示を出すことができます。
以下の動画は、Anthropic社公式YouTubeチャンネルでのComputer Useの紹介動画です。
具体的な業務改善効果
こういった技術を活用することで、以下のような業務改善が期待できます。
1. 作業時間の大幅削減
- 規格書の読み取りから入力までの作業を自動化
- 規格書のフォーマットの違いを自動認識
2. 精度の向上
- 入力ミスの削減
- データの標準化の自動実行(指示を工夫する必要あり)
3. スケーラビリティの向上
- 商品点数の増加に柔軟に対応
- 新規サプライヤーの追加も容易に処理
- 多言語対応も効率的に実施
導入時の注意点と準備
このような革新的な技術を導入する際は、以下の点に注意が必要です。
1. マッピング定義
- サプライヤーの規格書の項目と自社の商品マスタ項目とのマッピングを定義
- 複雑なマッピングの場合、マッピング条件を定義
2. セキュリティ
- AIサービスの提供会社が、規格書などのデータを保存したり学習に使用したりしないことの確認
- アクセス権限の適切な設定
3. 運用プロセスの整備
- 定期的な精度検証の実施
まとめ
Computer UseのようなAI技術の登場により、商品情報管理の現場は変革期を迎えています。手作業による入力作業から解放されることで、企業は本来注力すべき戦略的な業務に人的リソースを振り向けることが可能となります。
また、データ品質の向上は、より良い顧客体験の提供にも貢献します。PIMシステムの導入を検討している企業、あるいは既存のPIMシステムの運用効率化を目指す企業にとって、こういったAI技術の活用は検討に値する選択肢となるでしょう。
(株)エルテックスが提供している商品情報管理システム
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